2013年6月8日土曜日

歯の再生医療への期待と不安

歯の再生医療が、ここ10年ほどで結構進んだようなニュースを見ます。

動物実験などで、

「歯根膜が再生できた」
「歯槽骨が再生できた」
「歯が丸ごと再生できた」

などのニュースが散見されるようになりました。
主に、本人から抽出した幹細胞を使ったもの(歯周組織そのものを実験室で増やして患部に埋め込む)と、サイトカイン等の培養液を使ったもの(培養液を患部に塗って、歯周組織の再生を促す)とがあるようです。

人間でこれを再現するには、 まだまだ臨床実験が必要だそうです。論文やニュース記事などを流し読みしている中では、以下のような期待と不安があります。

【期待】
・まだ歯を失っていないが、歯周組織が破壊され始めている人(虫歯で詰め物をしている人、歯周病が進んだ人、等)の歯、歯根膜、歯槽骨を、元のピカピカな状態に戻せるかもしれない。
・既に歯を失ってしまった人が、元の歯を取り戻せるかもしれない

【不安】
・実際に臨床で使えるようになるまでには、何年もかかりそう(10年後とか)
・最初は、適応症が限定されてそう(前歯しか再生できない、とか)
・幹細胞を使う場合は、幹細胞の腫瘍化(癌化)が起こるかもしれない
・歯肉の切開が必要なので、痛そう
・水平的に下がった歯槽骨の再生はまだ難しいかも
・保険適用ではないので、100万円単位で値が張るかもしれない
・歯槽骨再生については、インプラントの埋め込みとセットである場合も多く、インプラントを避けたい人には無意味



感覚的には、実用化が早い順に、

浅い虫歯(エナメル質)の治癒 > 歯肉の再生 > 限局的な歯槽骨の再生 > 深い虫歯(象牙質)の治癒 >  歯根膜の再生 > 歯槽骨の再生 > 歯全部の再生

のようになるのではないかと思います。

歯全部の再生ができるのはいつごろかなぁ・・・。
これが全部、10年以内に実現するといいんですけどね。