2013年6月6日木曜日

日本における歯の教育


西洋人は、おしなべて歯が綺麗です。ここで歯が綺麗というのは、歯並びがよく、かつ、虫歯の本数が少ないという意味です。
とくに、中流以上のアメリカ人(アメリカは先進国ですが貧富の差が激しいため)では、虫歯の発生本数も大変少ないというデータがあります。(統計値は後ほど)

アメリカ人と話していると、歯のケアに関する意識が非常に高いことに気付かされます。
そもそも、歯というのは爪や髪と異なり、毎日きちんと適切なケアをしなければ、虫歯と歯周病によって失われてしまうものなので。ケアの知識を持つことは、普通に寿命を全うしたいなら、大変重要なのです。(この点、髪や爪のケアに余念の無い日本人女性と似ています)

なぜなら、普通に日常的な食事をしているだけでも、人間は虫歯や歯周病を患う可能性が高いからです。
人間は火を使います。調理して、柔らかくして食べます。砂糖も大量に使います。
自然の摂理に反することをしているので、野生動物には必要のない「ケア」が必要になるわけです。

しかし、日本人はそのことをあまりよく認識していない気がします。
正確には、認識している人の割合が低いです。

「歯磨きしないと虫歯になる、歯周病になる」ということはわかっているのですが、

「何を食べたら歯垢が増えやすいか」
「どこを磨けばいいか」
「何分くらい磨けばいいか」
「いつ磨けばいいか」
「歯ブラシ以外にどんな道具を使うべきか」

といった知識が浸透していないので、馬鹿正直に食後に歯磨きを手短に済ませ、歯を失っている傾向があります。
(歯垢を落とし切れていないため)

それから、根本的な問題として、危機感が薄すぎると思われます。

「虫歯や歯周病がいかに恐ろしいか」
「虫歯や歯周病は、予防が最大の防御で、発症したら完治しない」
「発症すると、痛いし、時間がかかり、お金もかかる」
「入れ歯やインプラントは、天然歯にはとても及ばない」

といったことが、少年時代から教育されていないのです。




では、何が必要か?

子どもの場合。
ずばり、親や教師からの教育。これに尽きると思います。
そのためには、親や教師が、まず知識と危機感を持っていなければなりません。

子どもは歯周病にはなりにくいので、虫歯と歯並び対策中心の教育になると思いますが、

・虫歯や歯周病の生々しい説明
・虫歯になりやすい食べ物(特に、砂糖)
・虫歯になりやすい生活習慣(間食を避ける、寝る前にケアする、鼻呼吸する、等)
・フッ素、CPP-APC、キシリトール等による予防
・正しい歯垢の落とし方(ブラシ+フロス+歯垢染色液)
・バランスの良い食事と、左右均等な咀嚼
・歯並びを乱す悪習慣の解消(ほおづえ、片側噛み、横向き寝、歯ぎしり等を避ける)

といったことが非常に重要です。

個人的には、特に永久歯の生えてきた子どもには、1本も虫歯を作ってほしくない、と思います。
少しの歯科補修でも、噛み合わせが狂いますし、補修材料も子どもの発育には良くないからです。
また、痛い側で噛まなくなる可能性もあります。


これと同時に、半年に1回程度の歯科チェックも欠かさないように習慣化すべきです。



大人の場合。
・歯垢が発生しやすい食べ物(特に、砂糖)
・歯垢が発生しやすい生活習慣(間食を避ける、寝る前にケアする、鼻呼吸する、等)
・フッ素、CPP-APC、キシリトール等による虫歯予防
・正しい歯垢の落とし方(ブラシ+フロスor歯間ブラシ+歯垢染色液)

といった子供と同じ内容に加えて、
・特に20代、30代には、これから来る歯周病の危険性の周知と対処方法
・歯槽骨の減り具合の定期的なチェック
・2次カリエスについての周知
・根面う蝕についての周知
・神経をとることのデメリットの周知
・入れ歯、インプラントの難点の周知

といったことが必要と思います。

まだ歯を失っていない人は、歯のケアを安易に考えてはいけないと思います。
日々のちょっとした怠慢と無知が、後年、死活問題を引き起こします。

最低でも寝る前には20分~30分、正しく歯垢を落とす。
間食は控える。有糖のコーヒーや清涼飲料水も控える。
歯の状態が悪い人は、歯にへばりつく食事や砂糖の多い食事を控える。
3ヶ月に1回は歯科のチェックとクリーニングを受ける。

他愛もないことですが、それが人生を左右します。
無知とは、恐ろしいことです。