2014年3月23日日曜日

「歯磨きをしっかりすれば甘いもの食べても大丈夫」というエセ歯医者

いつも思うのです。
プラーク(歯垢)を作らせないためには、食事制限すべきだ、と。


歯医者はいつも、

「虫歯、歯周病の原因はプラーク」
「ブラッシングでプラークを落とせていれば、食事に神経質にならなくても問題ない」
「落とし切れなかった分は、半年に1度の歯科クリーニングで落とせばいい」

と言います。


しかし、これは、歯垢の溜まりやすい人(歯周病リスクや虫歯リスクの高い人)にとっては、役に立たない机上の空論です。



第一に、虫歯を予防したい人にとって、無意味です。


なぜなら、

ブラッシングは歯周病対策には有効だが、虫歯に有効というデータは見られていない。虫歯の最大の因子は、飲食である。(WHO見解)

というのが現在の通説だからです。

虫歯リスクが高い人は、歯並びが悪かったり、虫歯菌が多かったり、唾液量が少なかったり、唾液のPHが低かったりする人です。

そういう人の口の中に単糖や二糖(ショ糖、果糖、ブドウ糖など)が入ると、すぐさま、口腔内は酸性に傾き、脱灰が始まります。そして、リスクが高いので、酸性状態が長く続き、歯に穴が空いてしまうのです。

これは、食べた瞬間に歯磨きする、とかいうことでもない限り、防げないと思われます。

よって、食べる糖の中身を制限して、砂糖や果糖、ブドウ糖などが多く含み歯に残りやすいものは極力避けるべきなのです。(砂糖の例としてはチョコレートや菓子パンなど。果糖ブドウ糖の例としてはドライフルーツやサツマイモなどが、それぞれ避けるべき品目になります)



第二に、現実的には多くの人が、きちんとした歯磨きを実行できないので、そもそも歯垢を形成しやすい食事を避けたほうがラクだからです。


どんなに努力しても、歯並びが悪かったり道具が悪かったりすると、磨けないところは多々発生します。また、万人が、そんなに丁寧に歯磨きできるほど器用なわけでも、時間があるわけでもありません。

歯医者さんたちは、「だから自分たちのところでブラッシングの指導を受けるべきだ」と言います。しかし、どんなに練習して磨いても歯垢がどっさり残ってしまう人も多々居り、そういう人にはそうなってしまうだけの事情があるのです(主に、歯並びや唾液という観点で)。

ちなみに、北米と北欧の人達はおしなべて虫歯・歯周病が少ないのですが、それは、彼らがおおむね矯正して歯並びが綺麗なことと、幼少期にフッ化物を使っており歯表面が丈夫なこと、フロスを常用すること、クリーニングに定期的に通っていることによるものだと思われます。

(現に、彼らの歯磨きを見たことがありますが、2~3分でササっと済ませています。歯並びが綺麗なので、そんなに意識しなくても歯垢が落ちやすいようです。あんなに甘い洋菓子を食べているのに・・・)

よって、歯垢の落としやすさ、歯磨きのしやすさには、もともとの個体差があり、歯垢の残りやすい人の口腔内の健康を歯磨き技術でカバーしようなど、無理があると思うのです。


したがって、現実味のあるプラーク撲滅策としては、プラークが残りやすい人は食事の内容を制限する、というのが一番だと私は思います。


制限食といっても、何もかもを病的に制限する必要はありません。
ただ、歯にへばりつく単糖・二糖類をできるだけ避ける、というだけでいいのです。それも、一生禁止、とかではなくて、たとえばチョコレートは1週間に1~2回だけ食べる、とか、そういう方法でもいいと思います。もっとリスクを減らしたい場合は、自分のように、炭水化物を蕎麦にしてみるとかね。

糖尿病になれば、糖質制限がかなり厳しめに要求されますが、それに比べればラクなのではないかと・・・。


個人的に、糖を多く含むものとして、以下のようなリスクわけを頭の中でしています。
※あくまで、自分の場合は、です。


【範疇外・・・絶対使わないもの】
おおむね、砂糖や果糖ブドウ糖液、水あめなどがたんまり入っている市販の半既製品です。

  • シチューやカレーのルウ
  • 液体調味料(そばつゆ、ドレッシング、焼き肉のタレなど)
  • ○○のモト(麻婆豆腐のモト、から揚げのモト、ホットケーキミックスなど)
  • チューブ入りの辛子、わさび



【危険度S ・・・ 1ヶ月に1回食べるか食べないか、程度のもの】
砂糖(ショ糖)や果糖が多く、かつ、歯にへばりつくもの。間食では絶対食べない。(=食後に食べる程度)

  • 砂糖
  • チョコレート
  • キャンデー
  • ケーキ
  • 菓子パン
  • パンやケーキに乗せるジャム、シロップ、ハチミツ
  • ドライフルーツ全般
  • 甘いシリアル
  • バナナ
  • 熱を加えたサツマイモ

などなど


【危険度A ・・・ 1週間に数回、食事と一緒に摂るならまだ許容範囲かな?というもの】
砂糖(ショ糖)や果糖が多いが、比較的歯に残りにくい。でも間食ではあまり食べない。
  • 果汁100%ジュース、清涼飲料水
  • アイスクリーム
  • ゼリー
  • 甘いヨーグルト
  • パイナップル
  • 缶詰の果物
  • ケチャップ、ソース、みりん

などなど



【危険度B ・・・ 毎日食べても許容範囲だが、歯垢ができやすいので避けているもの】
デンプン質の多糖類が多く、歯に残りやすいので、歯垢になりやすい。

  • じゃがいも
  • 粉+油 で作られたもの全般(パン、お好み焼き、パスタ、ピザ、餃子)




【危険度C ・・・ 毎日食べても問題ないが、少しでも歯垢を減らしたいときに避けているもの】
デンプン質の多糖類が多く、それなりに歯に残りやすいもの

  • 炊いた米
  • 味噌



【危険度D ・・・ 毎日食べても問題ないが、糖が気になるのでたまに避けているもの】
ショ糖、果糖、ブドウ糖を多く含む野菜を加熱して、歯に残りやすくなったもの

  • 柔らかく火を通した玉ねぎ
  • 柔らかく火を通した人参

などなど


【危険度E・・・ 毎日気にせず食べるもの】
歯にきわめて残りにくいか、糖を多く含まないもの。

  • りんご、いちご等のみずみずしい果物
  • 蕎麦、うどん
  • 根菜以外の野菜および大根、かぶ(←糖少な目)
  • 豆腐
  • きのこ
  • 肉、魚、卵
  • 牛乳、チーズ、バター
  • 醤油

などなど。



歯垢が残りやすい人は、危険度S、A、Bはできるだけ避け、危険度Eのものを中心に召し上がると効果的かもしれません。

自分は、PMTCを受けた直後の1週間くらいは、歯質の修復のため、歯垢を作りたくないので、Eレベルの食事をしてます。当たり前ですが、おどろくほど、歯垢が減ります。

2014年3月18日火曜日

虫歯、歯周病から確実に解放されるには

私事ですが、ここ数年、仕事中にしょっちゅう間食してきたせいで、歯垢が非常によく溜まり、また、虫歯も結構できてしまいました。レントゲンで見ると、歯周病も初期~中期レベルに進んでいるということでした。

虫歯を修復してもらう時に、麻酔して、ドリルの音と振動に耐え、何とか神経を残してもらい…というような経験をすると、人間、必死にそこから逃れる術を考えるものです。

で、本読んで、ネット読んで、英語版のWikipediaやアメリカの歯科学会のページなども見て、得た結論。

炭水化物を食べなければ、歯垢はできない。したがって、虫歯にも歯周病にもならない。



、、、はい、その通りです。

アトキンスダイエットや江部 康二の提唱しているような、低炭水化物ダイエットを実践している人は、歯垢ができにくいことを実感しているようですし。



しかし、実際問題、炭水化物ゼロというのは、健常者にとってはかなり難しいでしょう。私も実践してみたのですが、肉、野菜、豆腐だけだと、頭がフラフラして、ちょっとつらかったです。

で、妥協案として行き着いたのが、炭水化物源として蕎麦をメインにし、あとは肉、魚、野菜、卵などを食べる、というものでした。

なぜ蕎麦か?というと、蕎麦は、白米やパンなどと違い、歯にくっつきにくいからです。私は温蕎麦をよく食べるのですが、蕎麦というのは、あまり噛まなくても、出汁とともにサラっと口の中を通過してくれるし、噛んだとしても、歯にへばりつかず、食後にうがいすれば、おおかた洗い流されてしまうのです。

また、精製された白い炭水化物と違い、それなりにビタミンB系の栄養素もあるので、健康食でもあります。

蕎麦は、朝と夕の2食、食べています。

炭水化物を減らすと、植物性の食品の比重が減りがちになるので、野菜果物はしっかり摂取することが重要です。(肉や魚ばかり食べていると、癌や動脈硬化など、別種の病気の心配があるため)


その際の注意点として、炭水化物が多かったり粘性の高かったりする野菜や果物は避ける、ということが必要になってきます(あくまで、歯垢を抑制するという観点で)。

具体的には、

  • 糖度が低く歯に残りにくい青菜(レタス、小松菜、スプラウトなど)や、大豆もやし(緑豆もやしは×)、きのこ、などは積極的に食べる
  • 糖度が高いが、歯にあまり残らず、サラっと生で食べられるもの(りんご、いちご、トマト等)は、気にせず食べる
  • 糖度の高いもの(加熱調理した玉ねぎ、ニンジン、ネギ、など)、デンプン質の多いもの(芋、かぼちゃ、レンコンなど)、糖を含み歯に残りやすいもの(枝豆、納豆、バナナ、パイナップルなど)、およびドライフルーツは避ける
  • 炭水化物を意外に多く含む調味料(味噌、醤油など)は避け、基本は塩のみで味付けする
  • 酢は、使っても良いが、酸侵が不安な場合は控える
  • 牛乳やヨーグルトは乳糖を含むので、あまり頻繁には摂らない、あるいは、牛乳寒天やゼリー、プリンのような形態で摂取する


こんな感じです。

上3つは重要ですが、下3つは、まあできれば実行したほうがいいかな、というものです。


あと、大前提ですが、

  • 米、パン、パスタ、芋、シリアルなどを絶対食べない
  • 砂糖、ハチミツ、各種シロップなどは論外
  • ほぼ確実に糖質が入っているので、加工食品を食べない(お菓子やケチャップ、カレールウ、スーパーの惣菜などなど)
  • 原則、自炊する

ということは、受容しなければなりません。


でも、蕎麦って意外においしいし、これを主食にするのはアリだと思います。
これで虫歯や歯周病と決別できるなら、そして何より、食後のフロスや歯磨きにそんなに気をつかわなくても良くなるというのは、自分にとってはうれしいことです。

まあ、人によって危機感は異なると思うので、全部でなくても、重要なポイントから試してみてはいかがでしょうか。




参考ですが、ある日のメニューです。

<朝食>
塩茹で鶏の温蕎麦
レタス、きゅうり、トマトのサラダ (塩とオリーブオイルのみで味付け)
りんご1個

<昼食>
ニラ玉
自家製の塩チャーシュー(豚)
茹でたホウレンソウ

<夕食>
もやし入りスープのつけ蕎麦
白菜、しめじ、牡蠣の水炊き
大根おろし
塩ゴーヤーチャンプルー

2014年3月13日木曜日

保険診療の限界

虫歯は本来、1本たりとも作ってはいけない。」でも書きましたが、


もし、「治療」してくれるのであれば、元のピカピカな歯に戻してくれなければなりません。
歯科医のやっているのは、せいぜい「処置」というべきもので、全然治療ではない。


・・・というわけで、歯医者で行う虫歯「治療」というのは、その実、ぜんぜん治ってません。
穴を削ってふさいで、一時的に噛む機能を回復させただけです。時間が経過すると、詰めた隙間からまた虫歯が発生します(詰め物と歯の間には必ず隙間があるため)。

これを二次虫歯(二次カリエス)といい、再発率は大変高い(80%以上)とされています。

そして、これを防ぐ術はありません。

多くの歯科医院のサイトでも、「大人になってからの虫歯はほとんどが二次カリエスです」と書かれていますが、その防御方法は書かれていません。これは、どんなに完璧に歯磨きをしても、食物残渣や細菌が詰め物の隙間を通っていってしまうからです。

進行を遅らせるには、詰められる前にも増して入念に、日々きっちりブラッシング&フロッシングして、歯垢を落としておくこと、くらいでしょう。

ただ、精度の良い詰め物をしてもらうと、10年、20年単位で耐久することがあります。(その後は詰め替え)

「精度の良い」というのは、きちんと虫歯部分を削った後、シリコンで綿密に型取りされたゴールドのインレーやクラウン、良い接着剤を使ってくっつける高品質なセラミックやレジン、といったものを使う処置のことです。

そして、このような精度の良い処置は、保険診療では到底無理です。

細部まで狂いなく虫歯を削るためには時間がかかる
型取り or 充填 にも時間がかかる
材料費が高い

といった理由から、健康保険でカバーされる歯科医院の実収入(虫歯処置1本あたり数千円~1万円) では、大赤字になってしまうからです。



YAHOO知恵袋にも、似たような質問がありました。

歯科に関していうと保険診療は「標準水準の医療」を実行できるコストを支払ってくれません。
予算がありませんので、まともな治療はできません。

保険の場合は割り切って予算内で仕事します。
かわいそうに・・・って思いながら・・・。


これが、歯科の(少なくとも虫歯処置の)保険診療の実態です。

保険診療を行っている歯科医院では、肉眼(ルーペや拡大鏡無し)で、ラバーダムせずに、虫歯検知液も使わずに歯を削り、保険でカバーされる下等なレジンやパラジウムインレーをちゃっちゃと装着して終わります。1回の処置時間は非常に短く(10分~15分)、酷いときは、歯科医が複数の患者の間を行ったり来たりしていますし、型取りやレジン充填を衛生士や助手がやることもあります。


尚、保険診療で虫歯を処理してもらうと、だいたい平均4~5年で不具合が起きるようです。(つまり二次カリエス)

保険診察のメリットは、ただひたすら、安価であることだけで、予後は最悪です。
人生が残り少ない人はいいでしょうが、まだ先が長い人は、多少お金を工面してでも、まともな保険外診察を受けたほうがいいと、今は思います。

ただ、保険診療 = 雑  ということは確実ですが、
保険外診療 = 丁寧  という図式は不確実です。 保険外を謳いながら、テキトーで不適切な処置を行う歯科医もけっこう居るからです。

だから、自由診療の歯医者選びは大事なのです。