2013年11月15日金曜日

生の果物は虫歯になりにくい

虫歯の原因は、糖です。

一番大きなリスクをもたらすのが砂糖(スクロース)。
これは、細菌が歯垢を作るのを促すグルコースと、酸を作るのを促すフルクトースが1:1であわさった糖です。

歯垢が形成されるうえに、酸まで生産されてしまうので、とても危険なわけです。


それ以外に、グルコースのみ、フルクトースのみを含んだ食品でも、虫歯のリスクにはなります。

グルコースもフルクトースも、植物が体内に蓄える「糖」なので、植物性食品の中には多かれ少なかれ、入っています。

グルコースは主に穀物やイモ類や果物に。
フルクトースは主に果物に。

それぞれ含まれています。

ちなみに、砂糖(スクロース)も、いろいろな植物に含まれています。ただし、精製された砂糖のように高い純度ではありません。

グルコース、フルクトース、スクロース(砂糖)は、いずれも口の中に入れると甘さを感じます。



さて、ここから本題。
市販のお菓子は砂糖たっぷりなので、虫歯の大きな原因になりますが、では果物はどうでしょうか?

結論から言うと、果物は原則、虫歯になりにくい食品です。

理由は2つあります。

①繊維質が多く、歯にへばりつかずに洗い流されるから。
②スクロース(砂糖)をあまり多く含まないから。

どちらかというと①のほうがメインの要素です。

果物の多くは甘いのですが、その甘さは果物に含まれている各種の「糖」に起因します。
果物には、フルクトースを中心に、グルコースやスクロース(砂糖)が程よく含まれていて、それが甘いのです。

スクロース(砂糖)一辺倒ではないという点で、菓子とは違っています。

ただ、やはり砂糖が含まれているという点では、虫歯のファクターになります。

しかし、果物はそれでもなお、虫歯になりにくいのです。
(例えば、http://dentist-free.blogspot.jp/2013/05/blog-post_18.html において、リンゴは虫歯リスクが大変低い食品です)

なぜか?

それは、果物のほとんどは歯にへばりつかないからです。

果物の多くは水分と繊維質なので、歯の間にべっとりと張り付いたりしません。
ほとんど歯に付着せずに、胃まで流れて行ってくれます。

歯の間に果物片がつまることはありますが、繊維質なので、うがいをするか、フロスをかけるかすれば、すぐに塊ごと除去することができます。

これが、果物がふつうの菓子やパンよりずっと虫歯になりにくい理由です。

リンゴ、ナシ、みかん、キウイ、ぶどう、パイナップル、いちご、モモ、などがおすすめです。

例外として、バナナだけは、粘度が高く、糖分が多く、歯にへばり付きやすいので、注意が必要です。




※注意

虫歯になりにくいのは、「生の果物」です。
ドライフルーツやコンポートなどは、糖分が凝縮されている上に繊維質が緩んでいるので、粘度が高く、歯にくっつきやすくなっています。よって、虫歯予防という観点からは、全くおすすめできません。最近売上が伸びているというフルーツグラノーラ(朝食用シリアル)に入っているレーズンやドライマンゴーなどは、甘い上に歯に付きやすく、できれば避けたほうがいいでしょう。

砂糖の害 その2

砂糖というのは、虫歯の最大の原因の1つです。

グルコースとフルクトースという構成が原因です。
また、実際上も、砂糖がほとんど普及していない途上国や未開の地では、虫歯はほぼ存在しません。

砂糖の害悪性については、厚生労働省も「砂糖は齲蝕の要因である」旨を述べているのですが、不思議なことに、製菓メーカーや製糖メーカーは、砂糖の害について反論しています。

曰く、

▼一人当たり年間の砂糖消費量は、日本が20kg弱で、北欧フィンランドでは40kgです。
ですから、「フィンランドでは、日本の二倍の砂糖を消費していますが、虫歯の発生が少ない」のです。(http://www.nitten.co.jp/column/xylitol.html

▼糖分はさまざまな食べ物に含まれるので、お砂糖をとらないようにすることよりも、菌が増殖する口中環境を作らないよう、食後の歯磨きを習慣づけることが大切といえます。(http://www.mitsui-sugar.co.jp/enjoy/dictionary/



ここで強調されているのは、

「砂糖を食べても、歯磨きをしっかりすれば虫歯にならない」

という点です。


しかし、実質的には、歯磨きを完璧にできる人は多くありません(磨いてもどうしても歯垢が残ってしまう人が多い)。その場合に、砂糖を含んだ食事をしていなければ、虫歯リスクを減少させることができます。

砂糖を常用していると、磨き残しがあった場合に、虫歯リスクを高めます。砂糖会社の言う歯磨き至上主義は、実際にはあまり有用とは言えません。


また、よく理由づけに使われる「日本よりも砂糖消費量の多い欧米各国では日本より虫歯の発生率が低い」というのも、こじつけな気がします。

なぜかというと、

・砂糖は、摂取頻度と口の中の残留時間が問題なのであって、消費量とは関係ない

からです。

砂糖を20キロ食べようが40キロ食べようが、口の中に残って害をなす時間が同じであれば、害も同じです。胃袋に入る重さではなくて、口の中に残る量が問題なので。


それと、砂糖を「まったくといっていいほど」摂取しない、アフリカのいくつかの国では、虫歯の発生はほぼゼロです。これらの国では、常識的に考えて、日本ほどブラッシングの習慣は無いでしょう(国際援助で歯ブラシを寄贈したりしているくらいですので)

つまり、「砂糖に限らず食物残渣で虫歯になる」のではなくて、砂糖は明らかに虫歯にとっては巨大なリスク要因であり、摂取量をゼロにすれば、虫歯もまたゼロになると考えられます。

砂糖の消費は、年間5キロでも20キロでも、虫歯への影響という観点からは、大差ありません。

摂取量ゼロを目指すのが、一番の理想です。

それが難しい場合は、摂取頻度をできるだけ控えて、歯にへばりつく菓子パンやクッキーなどは避けること。そして、もし食べてしまった場合は、速やかにブラッシングなどで歯からこそげ落とすこと。

これが肝要です。

砂糖の害 その1

「甘いものを食べすぎると虫歯になる」
というのは、昔から漠然と言われていることです。

これは、正確に言うと、
「砂糖が口の中に残留すると、虫歯になりやすい」
となります。

砂糖(スクロース)は、グルコースとフルクトースの分子が結合した形をしています。

グルコース ・・・ 歯垢を形成する
フルクトース ・・・ 歯垢をエサにして、酸を生成する (歯を溶かす)

虫歯菌は、上記のように働くので、この2つが同時に存在する砂糖というのは、虫歯菌にとって最良の餌になるというわけです。


で、口腔内は唾液による自浄作用が働いているので、多少砂糖が入ってきても、洗い流せる程度であれば、そんなに問題ありません。数分~数十分で、口腔内のpHは元に戻ります。よって、歯はそんなに溶けません。

しかし、以下のようなケースでは、唾液で洗い流せずに砂糖が口の中に滞留するので、虫歯ができやすくなります。

①頻繁に砂糖を口に入れている場合
②粘着性の高い食品に砂糖が含まれている場合


①のケースは、常時キャンディーを舐めていたり、清涼飲料水や缶コーヒーをちびちび飲んだりしているときに起こります。せっかく唾液で洗い流そうとしても、次から次にちょっとずつ砂糖が入ってくるので、浄化が追い付かないのです。

②のケースは、菓子パンやチョコレート、クッキーなど、砂糖が含まれていて歯にへばりつきやすい食品を食べた場合に起こります。これらの食品は、唾液はおろか、うがいをしても、なかなか洗い流されず、歯の溝や歯間に長い間ベットリと張り付いて残っています。 そこから虫歯になります。



よって、できる対策としては、

・できるだけ砂糖を含む食品を食べない
・食べる場合は、ダラダラと長く食べるのではなく、一気に食べて口を休ませる
・砂糖+小麦粉+油脂、を含んだ食品は歯にへばり付きやすいので、なるべく避ける。食べるなら、食後はうがい&歯ブラシ&フロス、を忘れずに。