2013年7月27日土曜日

「ちゃんと磨かないから虫歯になる」 という訳ではない

小さいころ、子供に虫歯ができると、親がよく言っていました。

「ちゃんと磨かなかったからだ」 と。


しかし、これは真実ではないです。


幼少期の虫歯というのは、大半が不適切な食生活とオーラルケアによるものです。

リスクファクターとしては、影響度が大きそうな順に、


  1. 砂糖の摂取が頻繁
  2. フッ化物を使っていない
  3. 歯垢が残りすぎ
  4. 歯科医院に定期的に通わせていない

そもそも、多少の磨き残しがあっても、砂糖の摂取量と頻度が低く、フッ化物を利用しているなら、虫歯のリスクはかなり減ります。


(1)砂糖の摂取が頻繁
これが最も大きなファクターと思われます。
なぜなら、他の要素が満たされていない国(発展途上国など)でも、砂糖の摂取量がほぼ0の国では、子供に虫歯はできないからです。

親が意味不明に子供に砂糖を与えまくるのは、ほとんど虐待です。
子供の味覚は発展途上のため敏感で、甘いものを覚えると、どんどん甘味中毒になっていきます。
3食をきっちり与え、余計な甘いものを幼いうちから与えないのが、一番健康な状態に近いです。
味覚の基礎が完成した後、5,6歳になってはじめて菓子を食べても、さほど砂糖のヘビーユーザーにはなりません。

清涼飲料水やジュース(果汁100%であっても)、ケチャップ、ソース等にも大量の砂糖が入っているので、特に注意が必要です。
どうしても甘いものを与えたいなら、イモ類や果物などの天然甘味を与える程度で充分です。

おやつが必要であれば、おにぎりやキシリトールガム、スティック人参、チーズなどにしましょう。


(2) フッ化物を使っていない
子供の歯は乳歯でも永久歯でもエナメル質が大変柔らかく、酸の浸食を受けやすいようになっています。この状態のときにフッ化物を使うと、歯のエナメル質が変質し、強靭になります。よって、先進国ではほとんど必須の方法で、日本でも最近は自然に実施することができるようになりました(歯磨き剤の多くにフッ化物が含まれており、また、小学校などでフッ化物洗口をするところも多くなってきたため)。

しかし、フッ化物の入っていない歯磨き粉を使ったり、ジェルや洗口液を使っていない家庭では、子供のう蝕リスクは高くならざるを得ません。


(3) 歯垢が残りすぎ
・親が仕上げ磨きをしていない
・フロスを使っていない
ことによって起こります。

「ちゃんと磨かなかったからだ」という親は多いのですが、そういう親に限って、フロスを使っていません(というより、使うという習慣が無い)。

歯ブラシだけで落とせるのは、歯垢の50%~60%程度です。フロスや糸ようじを使わなければ、歯間の歯垢は永く残ります。


(4) 歯科医院に定期的に通わせていない
いまだに、「歯医者は、虫歯が見つかってから行くもの」 という考えの日本人は多いです。
しかし、「虫歯を作らない」ために歯医者に行くのが本来の理想なので、子供は3か月~6か月くらいのスパンで、定期的に歯科医院に通わせるべきです。

歯石などをクリーニングしてもらうことと、「きちんと歯垢はとれているか?」をチェックして、虫歯の予防をしてもらうことが主なメニューです。

親切な歯医者であれば、それに加えて、食事指導などもしてくれることでしょう。

ただし!
虫歯が見つかったり、歯並びが悪いから矯正が必要だと言われたりしても、すぐに対処してはいけません。

歯を削るにしても、矯正にしても、子供の一生を左右することなので、じっくり考え、セカンドオピニオンをもらいに別のところに行ったり、書籍を読んだりして、決めましょう。

その場合、たとえば、
「現状維持のまま様子を見る」 という結論が出たとしでも、納得しているならOKです。
歯医者が無理強いするようなら、もうそこの歯医者にはいかないという方法もとれます。

歯は一生ものです。一度手を加えると、元には戻りません。
削る、抜く、という行為は、できるだけ避けましょう。